地図に慣れる

最終更新日:2013/07/14

【はじめに】

読図に関して初心者の方が山に行って、いきなり25000分の1地形図を見ても、 地図上の現在位置と実際の現在位置を見比べて、頭の中で対応が付く方は 殆どいないかと思います。普段慣れている地図は、住宅街の地図とかではないでしょうか。

 自分も本格的なオリエンテーリング地図を初めて見た時は、 スタート地点からすぐ30mぐらい先のところにいるのに、地図上で現在位置がどこなのか 全く分からずパニックになりました。これは、今まで見ていた白い地図とは違って カラフル(畑がオレンジ、植生が緑など)な地図だったので、頭の中が混乱していたのでしょう。

ということで初心者の方は、まず地図に慣れることから始めましょう。 これが、「孤高の人」に書いてある「地図遊び」です。

といっても、「いきなり地図見て、知らないところを歩いても、とても正確に行けないよ。」 というのはごもっともです。そこで現代は、GPSという画期的な機器があります。 これを活用します。このGPSが読図の先生になるわけです。

 GPSにもいろいろありますが、読図を勉強するには、 画面に地図が映るタイプではなく、経路自体を記憶するだけのタイプを使いましょう。
歩き始める前にログ取得を開始し、歩き終わった時にログ取得を終了します。 PCで自分が歩いた経路を確認することで、間違いがあれば反省し、その対策を考えましょう。

ステップ@まずは、知っている道を地図を見て歩く。

普段は、自宅の周りなどの知っている土地は、地図など見ないで 歩いていますよね。この知っているところを、地図を見ながら歩いてみる。 ここで、コンパスは不要です。当然知っている道なのでコンパスなど必要ないですよね。

目に見える風景が、地図上ではどのように表現されているかを学びましょう。 ここで用いる地図は、一般の本屋さんで売っている地図で構いません。 なるべく縮尺が小さい10000分の1ぐらいの縮尺の地図がいいです。

当然、方向音痴だと認識している方でも、毎日通っているような場所なら 間違うことは無いはずと思います。この場所で、地図を見て、まずは地図に慣れましょう。

最初に行うことは、自宅の周りが地図でどのように表現されているかを押さえることです。 自宅がスタート地点になるので、ここで迷っていては、この先には進めません。 自宅の周りを見て、どこに行くには、どの道を進めばいいかを地図で確認しましょう。

 ネットサーフィンすると方向音痴の方は、現在位置と地図上の目的地は分かるが、 いざ出発しようとすると、現在位置から目的地に行くには、どこを行けばいいかが 分からず、パニックになる方がいるようです。
 こういう方は、まず現在地の把握をせずに、先に目的地を考え、 その方向はどっちだと探すから、パニックになるかと思います。
 まずは、現在位置の状況がどうなっているかを先に把握することが大事です。 すなわち、「自分はここに居て、あそこに見える道は地図上でここで、こっちに見える道は地図上でここだ」 と確認することです。その上で、それじゃ目的地に行くには、どの道を行けばいいかを 考えるのです。

そして、普段通っているスーパーとか駅とかバス停とかを目指して歩いてみます。 その間に何があるかを現地と地図を見比べながら歩いてみます。

 地図の見方は、A)北を固定する方式と、B)常に進行方向に地図を向ける方式があります。 カーナビで進行方向に対して右に曲がれば、地図も回転してくれる方法がB)です。 ここでは、どちらでも構いませんが、自分が見て、一番見易い方法で行ってください。

ここでのポイントは、現在位置が地図上でどこかが把握できるまで繰り返します。 少し進むと現在位置と地図上の対応が出来なくなるようでは、次のステップには進めません。



でも、「目の前にある風景と地図がなかなか対応が付かないよ」という方が多いかと。 そんな方には、まずは対応の仕方を以下で説明します。

目の前の風景と地図を対応させるにはどうしたらよいか

地図が苦手な方で、地図上で現在位置は分かっているという前提で、 目の前の風景を見て、それが地図上のどちらの方向を表わしているのかが 分からない人がいるかと思います。

こうなると、地図遊び以前の問題ですので、これが出来るようになるには どこをどうすれば良いかを説明します。

まず、以下の写真と地図を見て下さい。 自分がいる場所は、地図の人間マーク地点とします。ここで写真@、A、B、Cは、 地図上でどの方向(青、赤、緑、黄)を写した写真でしょうかを考えてみます。

 
 

より大きな地図で
風景と地図 を表示

地図を− +で縮小・拡大してして見てね。でも、大きな地図でストリートビューは見ないでね。



これを考えるには、以下の順番に考えます。

1)目の前にある風景の地図に書いてある特徴物を拾い出す。
2)拾い出した特徴物に当てはまる方向を地図から特定する。
1)目の前にある風景の地図に書いてある特徴物を拾い出す。

ここで重要なのは、「地図に書いてある特徴物」を拾い出すことです。 地図が苦手な方は、まずはここで迷ってしまうかと。 地図には、何が書いてあって、何が書いてないかをまず地図上で確認しましょう。

以下に例を載せます。

・地図に記載の無い特徴物の例。
・横断歩道がある。
→横断歩道の記載はありません。
・赤い服着た綺麗な女の子がいる。
→気持ちは分かりますが、地図には書いてありませんよ。
・パトカーが止まっている。
→動く車は地図に書いてありません。
・赤いビルがある。
→ビルの位置はあるが、そのビルの色までは書いてありません。
・5階建のビルがある。
→何階建てかまでは書いてありません。
・宝くじ売り場がある。
→プレハブ小屋的な宝売り場までは書いてありません。
・映画の撮影をしている。
→映画の撮影隊は、当然地図には書いてありません。
・遠くに山が見える。
→遠くに山が見えてもどの山なのかが分からないので意味がありません。
・ごみ集積所がある。
→ごみ集積所も地図には書いてありません。
・道路工事をしている。
→当然、道路工事の箇所は地図には書いてありません。
・地図に記載のある特徴物の例。
・歩道橋がある。
・Y字路の交差点がある。
・大きな建物がある。
・交番がある。
・バス亭がある。
・T字路がある。
・道路が右に曲がっている。
・川・橋がある。
・トンネルがある。

では、写真の中から特徴物を拾い出してみます。 ここで重要なのは、「xxのyy側にzz」というような拾い出し方をしましょう。 こうすることで、地図を見る時に複数の特徴物の位置関係を把握し易くなります。 ということで、写真の中からは、以下のように特徴物を拾い出せます。

@の写真
a)中央に大きな道路
b)道路の右側に学校らしい建物
c)道路の左側にマンション
Aの写真
a)中央に川
b)手前に左右の道路
c)川の左側に学校らしい建物
d)川の右側にマンション
Bの写真
a)中央に大きな道路
b)道路の右側にマンション
c)道路の左側にマンション
d)真っ直ぐな道路の先に信号機
Cの写真
a)中央に川
b)川はずっと先で左側に曲がっている
c)川の右側にマンション


2)拾い出した特徴物に当てはまる方向を地図から特定する。

地図を広げ、まず現在位置を把握し、 そこから地図を写真に写っている方向に廻して眺めて、 @から順番に拾い出した特徴物に合った方向を特定して見ましょう。

この例だと、1)のように特徴物を拾い出せば、どの方向かは直ぐに分かるかと思います。

@の写真は、
右側にある学校らしい建物の位置状況からして、地図上から柏陽高校と特定出来るでしょう。
その反対側にマンションがあるので、この時点で答えは出たかと。

Aの写真は、
中央に川があるようです。左側にある学校らしい建物は、本郷中学校か柏陽高校になります。
しかし、手前に道路があります。この時点で、答えは出たかと。

Bの写真は、
大きな道路を挟んでマンション、中央の道路は真っ直ぐで、その先に信号とあれば
この時点で答えは出たかと。

Cの写真は、
川の右側にマンション、川はずっと先で左に曲がっているので
この時点で答えは出たかと。

従って、@は青、Aは赤、Bは緑、Cは黄が正解です。

もっと他の例を見て見たい方は、以下の問題をやってみましょう。

空間認知力テスト ここはどこ?(初心者:初級)
空間認知力テスト ここはどこ?(初心者:中級)
空間認知力テスト ここはどこ?(初心者:上級)
基本地図読み判断定テスト(初心者の問題)
 方向音痴の方も含めて、山を歩いている読図に関して初心者の方は、殆ど以下のような方法で地図を見ているかと。
・地図を見て、進むべき方向とチェックポイント(例えば、交差点とか道の分岐)を決める。
・とりあえず、地図を見ないでその方向に歩いて行く。
・チェックポイントを意識しながら歩く。
・それらしき物が見つかると、地図で確かめる。
・チェックポイントが出てこないか、出てきても地図と違うと、パニックになる。
上記のようなことを行えば、上手く行けばパチパチですが、上手く行かないと遭難者です。。 そうならない為には、地図と現地を見比べながら、ひとつひとつ交差点でも建物でもチェックしながら進んで行きましょう。 この習慣を付けることが大事です。そうしないと、この先には進めません。

ここで地図に慣れてきたら(現在位置が地図上でどこかが把握可能になれば)、次のステップに移ります。

ステップA自分の丁内の境界に沿って歩いてみよう。

ここでは、地図に書かれている境界線に沿って進む練習です。

以下の例は、秦野市の本町1丁目の例です。


以下の例は、横浜市栄区の桂台中の例です。


より大きな地図で 桂台中央 を表示
 ここでも、コンパスは不要です。@で地図に慣れてくると、 住宅街には、特徴物が沢山あります。これが地図に沢山書いてあります。 すなわち、十字路やT字路、公園、学校、幼稚園、畑、川、橋、交番、スーパー コンビニなどなど。
これらを確認しながら歩くことが、読図には重要な部分です。 ここでコンパスに頼っていては、地図を読む能力は上達しません。

でも、境界線は、家と家の間にもあるので、当然入っては行けないところは 避けて歩きましょう。自分の丁内なので、距離的には数百メートルだと 思います。もし丁内でなく村や町だと、距離が長くなるのでこの練習は省略し、ステップBに進みます。

ここでGPSで自分の歩いたところを、後で確認しましょう。 もし、間違った経路を通っている場合は、必ず、自己分析し、間違いの原因と 間違わない対策を考えます。これが読図の上達の近道です。

ここでのポイントは、知らないところも地図を見ながら歩けるかにあります。 歩くことが出来れば、次のステップBへ進みましょう。

ステップB自分でルートを考えましょう。

ここでやっと「孤高の人」の「地図遊び」に近づいてきました。 では、自分で考えたルートを地図に記入し、その通りに進みます。 帰ってきたら、GPSで間違っていないかを確認しましょう。

以下の例は、秦野市の中心部の例です。

自分でルートを考えずとも、丁内や町境界でも距離が長く、複雑なところもお勧め。

以下の例は、横浜市中区の元町一丁目の例です。


より大きな地図で 元町一丁目 を表示
 ここまでレベルアップしてくると、地図をどのように見たら良いかが、 分かってくるかと思います。以前のA)北を固定する方式と、B)常に進行方向に向ける方式で 現在地を見ながら、特徴物を特定し、それが地図のどこに当てはまるかを確認しながら 歩くには、B)の方式の方がすばやく特定出来るかと思います。  このB)の方法が、地図を正置するといいます。正確には、コンパスを用いて方向も特定しますが 町の中では、特徴物が沢山あるので、コンパスを使わなくても、この正置が出来るかと思います。

ここでのポイントは、自分で設定したルートとGPSでの正確なルートが 一致しているかです。

一致していなければ、間違った場所を特定し、なぜ間違ったかを考えます。 そして、間違わないためにはどうすればよいかの対策を考えます。 次の実践からは、この対策を生かします。

重要ポイント:
読図が上達するか上達しないかは、間違った時に、原因と対策を考えられるかどうかです。
これを行わないと、いつまで経っても上達は難しいかと。
【ここで以下の問題を解いてみましょう。】
この問題は、ルート上に沿って歩いて、そこで写真を撮影しました。
撮影した写真が正しいか、間違いかを見分ける問題です。

問題:街中の地図は読めるよね? 問題1。


ステップBが完全に一致する自信が付いたら、次のステップCに進みます。

ステップCチェックポイントを辿る。

予めルートを決めて歩くのに慣れてくると、 今度は、予め数か所のチェックポイントを決めて、 その順番に地図を見ながら歩いてみましょう。

帰ってきたら、歩いたルートを地図に赤線で書いてみましょう。 その後、GPSで間違っていないかを確認しましょう。

これで、やっと「孤高の人」の「地図遊び」に到達しました。

これは、次のチェックポイントまで、どのように進めば良いかを その時点で考える能力を養うためです。こうすることで、山での読図で 大事な、先読みとルート選択能力を養っていきます。

下の例は、秦野駅南口(S)から@(十字路)A(T字路)B(橋)C(T字路)D(線路)のチェックポイントを決めて、 その順番に周り、最後秦野駅北口(E)に帰ってくるルートです。

観光エリアを観光気分で歩くのもいいでしょう。
横浜の関内駅から、最初3か所のコンビニを通り、横浜公園 →中華街の関帝廟→マリンタワー→港の見える丘公園→エリクスマン邸→元町ZARA と歩いたルートです。


より大きな地図で 関内 を表示
 地図を正置しながら、チェックポイントまでの考えたルートを、 その間の特徴物を確認しながら進みますが、その特徴物を地図上で確認した後、 地図から目を離し、また次の特徴物が目に入ると、それを地図上で探して見つける 動作を繰り返していると、探している時間が大変ですよね。 これが大変だと気付いた方は、以下のようにしましょう。

 自分が確認した特徴物に地図を持っている手の親指を当てて動かさない。 次に特徴物が出てきたら、親指の先が先程確認した特徴物なので、 その先を探せば、次に出て来た特徴物が簡単に探せますよね。
 そして今度は探した特徴物に親指を当てる。これのくり返しです。

 この方法が、サムリーディング(親指読み)と言います。 常に親指で現在位置を押さえながら地図を持ちます。

ここでのポイントは、歩きながら、その先のルートを考えることにあります。 これが出来るようになると、自由にどこでも歩いて行けるようになります。 どこでも歩ける自信が付いたら、次のステップDに進みましょう。



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