コンパスに慣れる

最終更新日:2011/12/25

【はじめに】

 ここまでは、敢えてコンパスは使いませんでした。しかし、登山道を25000分の1地形図を使って歩くには、 迷わない為にはコンパスが必要になってきます。

@なぜコンパスが必要か。

登山道では、特徴物があるとは言っても、25000分の1地形図は、等高線間隔が10mですので、 10mの範囲内で表現できる特徴物しか描かれていません。

さらに調査した時期が大分古い時代のものかもしれません。そうなると、地形は地震や台風などで変わってきています。 当然、道も無くなっている可能性もあります。その結果、現地と地形図が異なることになります。

従って、地形図をそのまま鵜呑みにすると、自分は間違っていなくても間違っているような状況に陥ります。 また、道の分岐が地形図より不明瞭であったり、うっかり分岐を見過ごしてしまうことも起こります。

登山道では、町の中と違い、同じような風景が続いたりするので、間違っていても直ぐに気付かない場合が多いです。 このため、最悪180度反対方向に歩いていても、間違っていると思わない状況も考えられます。

そうならない為に、コンパスが必要になります。 必要に応じて進んでいる方向が正しいかをコンパスで確認しましょう。

Aコンパスを用意しよう。

コンパスの種類は、沢山ありますが、山で使う場合に最適なのが、オリエンテーリング用のコンパスです。 このコンパスは、磁針の周りにオイルが入っているため、 磁針の止まりが速い。体を急に廻しても、磁針が北向きで直ぐ止まるります。

昔から使われていた、磁針が一点で支えられているようなタイプだと、 体を廻すと、なかなか磁針が止まらずイライラしますが、これがありません。

また、読図の上級レベルになると、森の中まで入って行きますが、 オリエンテーリング用のコンパスには、森の中を直進する場合の方向確認用 補助矢印を合わせるリングが付いているので便利です。

なお、オリエンテーリング用コンパスの各部の名称等は、色々なHPに 載っているので、そちらを参照してください。

Bその前に地図に磁北線を書こう。

まず、コンパスを使う上で重要なのが、 コンパスの磁針が示す北と地図の上側の北が一致しないということです。日本では、約7度西側にずれています。

そのためコンパスの磁針は、地図の上側から左側に約7度ずれている方向を北として指します。 ここで約7度と書いたのは、日本全体としては、沖縄4度、北海道10度まで開きがあります。 従って、使う場所によって、この偏差の値を調べる必要があります。

ただし、市販の国土地理院の25000分の1地図には、その地図の偏差の値が 地図欄外に記載されています。 また、国土地理院ホームページの地磁気値を求めるにも載っています。

 ただし、日本で使う場合は、7度として磁北線を引いても殆ど困らないかと思います。 7度として磁北線を引くと、最大3度ズレますが、コンパスと地図で正置する場合に、 この3度のズレが大きく影響することは、ないでしょう。3度ぐらいは誤差の範囲です。

使用する地形図の偏角の値が分かれば、地形図にこの偏角に合わせて磁北線を書いてみましょう。

自分で磁北線を引く場合のやり方を以下に示します。

磁北線の引き方
@前述した方法で偏角を求め、「偏角」に度と分を入力します。
A地図面の縦長さyをミリ単位で求め、「地図縦長さ y」に入力します。
B「計算」ボタンをクリックします。
C地図上側の西方向にズレた「上側の長さ x」を表示します。
D地図の上側の右端から西側(左側)に長さxの地点をプロット(点を書く)します。
Eプロットした点と地図の下側の右端を赤線(磁北線)で結びます。
F今引いた磁北線の地図の上端と下端から磁北線の間隔 hを定規を使いプロットします。

間隔 hは、4cmぐらいが妥当です。25000分の1だと1kmになります。

Gプロットした上端と下端を赤線(磁北線)で引いて行きます。
偏角: 分  地図縦長さ y: mm   → 上側の長さ x: mm

また、電子国土や地図を表示するアプリでは、磁北線を自動で引いてくれるものもあります。 これらは、それぞれのホームページ等で調べて下さい。

Cコンパスの使い方。

では実際にコンパスの使い方ですが、 最も一般的なオリエンテーリング用コンパスのシルバコンパスのタイプ3で説明します。 でも管理人は、このコンパスは持ってない為、写真では説明できないので、 管理人が普段使っているオリエンテーリング競技用コンパスで説明します。 基本的に原理は同じです。

●自分の進んでいる方向を確認する。

地図も用意出来たので、 実際にコンパスを一番良く使う場面は、自分が進んでいる方向が、果たして間違っていないかを 確認するためかと思います。

そのためには、自分がどこにいるかを地図上で分かっていないと 話になりませんが、今まで学んできたことを実践していれば、 自分がどこにいるかは、親指の先であると思うので、 その場合の進んでいる方向が合っているかを確かめてみます。

ここで前提は、地図は常に持っているが、コンパスはしまってある場合を想定しています。

これはとても簡単です。
@親指の先が地図上のどこかを覚えておく。
A親指を離して、地図をお腹の前に置き、その上にコンパスを置く。
Bコンパス内の磁針の北(赤い方)を磁北線の北方向と並行になるまで体を廻す。
C親指を元に戻して、地図の進行方向と実際の向きが合っていれば、自分が進んでいる方向は合っています。
 
 

注)上の写真のAでは、見晴らしがいいので緑の→方向を向いていました。


一般的に上記操作を地図を正置するといいます。この操作をいつでも出来るように練習しましょう。

ここまで来ると、もう読図の初級は、直ぐ目の前です。 次は、実際に登山をして今まで学んで来たことを実践してみましょう。



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